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4-2-1 カルテの翻訳

 証拠保全で入手したカルテの複写を再度複写し、書き込み用とする。元のはそのまま保管する。
 カルテとは、看護やリハビリ、検査や画像記録などの全ての診療記録を指すが、ここでは狭義のカルテである医師の診療録について話そう。

 カルテには、ミミズの這ったような横文字(たいていは英語かドイツ語)や判読不明な汚い日本語で、医学用語を交えて書かれている。それを略語や記号の意味も含めて、全ての言葉を「読める日本語」に書き直す必要がある。それを「カルテの翻訳」と呼ぶ。

 用語や略語には、簡単な意味を書き込んで、詳しい解説は別にまとめておく。このとき調べた文献は、解読の根拠として複写保存する。後日に別の見方ができる場合もあるし、弁護士の説得に必要。できるだけパソコンで打ち込み直したほうが良い。このような調査経過の丁寧な整理は、過誤の発見や論証の基本である。

 このとき利用するカルテ用語辞典は、できるだけ分厚いやつが良い。僕は何冊か持っているが、薄いものでは載っていない略語がある。
 医学辞典の巻末にある横文字の索引も利用できるが、これでは日本語の類推から到達することができない。略語や横文字は、文脈からどんな種類の言葉かはわかることが多く、病名なのか症状なのか検査名なのかで特定しやすくなるが、日本語も共に並んでいないと読み取れない。また、診療科ごとで特異的に多用する略語などは、医学辞典では引けないことが多い。
 辞書はいくつあっても困らない。初学者は複数の辞書を引いたほうが良いのはどの分野でも同じ。

 あなたは臨床医学には素人です。だから全てを調べる。少しでも可能性がある筋道は全部おさえる。石橋を全部叩く。それがコツです。
 熱があがったり下がったりするスパイクフィーバーは、何を示しているのか? 幼稚とも思えるようなこんなことも調べなければわかりません。だって、あなたこれが何の証拠か知らないでしょう? 同じようにみえる言葉の違いも、その発生や理由を理解すればわかるようになります。壊疽と壊死の違いを説明できますか? 僕はできますよ。これ、そうそう本には書かれていません。ごちゃまぜで使われていますから。とにかく、症状から読み解き、病名から読み解く。徹底的に調べ尽くす。

 このような作業には、時間がかかってあたりまえ。敵は医学部に6年以上いて、何十年もの臨床実戦と研究を経ているのです。そんなのと対等に論陣を張ろうというのですから。
 自宅ではなかなか進まないので、ホテルに泊り込んで頑張る原告もいる。締め切りに間に合わない作家が出版社にカンヅメにされるというやつである。

 翻訳カルテは、裁判になったときに、被告側から乙号証で出したり、業者に翻訳させたりするが、そんなものを信用してはいけないし、裁判をやる前に把握していなければならないのだから、提訴前には完全に解読して暗証するくらいになっていないといけない。何度もにらめっこするので、何月何日のどこに何が書かれているかは自然に覚える。

   ◇   ◇   ◇

 カルテ翻訳が終わったら、過誤の検討をする。カルテは、証拠保全手続きによったものでも、改ざんを前提とする。それが嘘のカルテであろうとも、裁判ではカルテを「既成事実」として、それを元に医学論争を展開することになる。
 複数の医師が書き込んでいるカルテは、それぞれの書き癖から人物像、性格まで推し量って注意深く読み取る。隠蔽への考え方は医師それぞれに違う。隠された真実がなにげなく書かれていることもある。日付と時間に注意。「この時間にこの人物がこのことを知っているはずがない」というやつです。

 こんなことがあった。転院先の病院のカルテに、そのMT(ムンテラ=患者への説明)はおかしいと、上級医師に抗議しているかのような若い医師の記述があった。過誤がわかったのは、その記述のおかげ。
 このとき、潜伏期間にひっかかっていたその病院もともに訴えれば、訴訟は患者側に有利だった。また、その病院も別のミスを複数やっていて、そのために長期入院となっていた。本筋で勝てなくとも、そこでは勝てる。その若い医師は、「(患者が)○○病院に裁判を起こすと言っている。うちの病院も訴えられるかもしれない」とカルテに書き残していた。
 でも、患者は、弁護士を解任してまで、その病院を訴えなかった。「原因を作ったのは前の病院だ。命の恩人をどうして訴えることができるのかね」そして、明らかに不利な訴訟に突入した。そして、提訴と同時に、その医師に手紙を書いた。「もし、先生が証人尋問に出られたときには、原告側は一切の反論をいたしません。病院を守るのも医師の役目でしょう。先生が何をどう証言されようと、気を悪くともなんともしません」
 この若い医師は、その後、別の病院に勤務を変わりました。理由はわかりませんが。

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 カルテは難解な推理小説です。隠蔽のほころびを見つけ、真実のストーリーを見つけ出します。それができなければ、裁判だろうと示談だろうと訴えることはできないし、医師や病院に邪険にあしらわれた疑惑の苦しみは消えません。

 過誤をやるような医者は、カルテなどそんなに書いていないものです。だから、詳しく書いていあるところが怪しい。とはいっても、書いていないということは、患者の状態がどうだったのか全くわからないので、過誤の立証はとても辛い。

 また、一般常識からみて、いかに明白な改竄であったとしても、裁判で認められることは極めて稀となる。それは、審判が裁判官の心証によってなされるからで、そこには論理も道理もへったくれもないことを覚悟してほしい。
 裁判とはそのくらい非常識なものです。しかし、裁判をはじめるからには、その条件を飲まなければなりません。

 そのような裁判を医者や保険会社もなめているから、カルテ改竄はけっこう杜撰なものが多い。時間的に間に合わなかったという事情もあるのだろうが、実に大雑把である。それでも原告が弾劾証拠をいくら出そうとも、病院側は勝ち越してきたのである。

 本当は、カルテ改竄が推定された時点で、原告を完全勝訴とすべきであるし、改竄は刑事罰とすべきでしょう。外国にはそういう国や州があります。
 なぜ、日本ではできないのか。利害関係を優先するだけの無責任な馬鹿がそこらを歩いているからです。本当は殺さなきゃいかんのです。汚職は死刑。そんなことあたりまえのことなんです。よいですか? 間違えないで下さいよ。襲撃目標は医者や保険屋だけではありませんよ。裁判所なんです。断罪されるべきは、裁判官の馬鹿野郎どもなんです。